Aoiro*Stone
自己満足な創作物ログサイト。 今のところ、過去に配信したメルマガのバックナンバーのみ。ログの更新は気まぐれ不定期。
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Aoiro*Stone/連載~7
2012年04月08日 23時14分 発行
2012年04月08日 23時14分 発行
【結び目7*シリウス*連載】
部屋に戻ると、ジェームズとリーマスだけが自分のベッドに横になっていた。
ピーターはまだ戻ってきていないらしい。
ローブとネクタイを適当に放り投げ、自身のベッドに腰を下ろす。
「……」
――泣いていた。
姫が、1人で。
先程の光景が頭から離れなかった。
拒絶された気がした。
解かれた手は行き場を無くし、何故だか一瞬見えたあの涙が、忘れられない。
「…なあ、ジェームズ」
くん、と嗅いだシャツからまた嫌な匂いがし、急いで脱ぎ捨てながら、寝転がって本を読むジェームズに声をかける。
「んー?」
「俺って、本当に誰かと付き合ってるのか?」
最初にそんな事を言われたはずだった。
いや、断言はしていないけれど、いないならいないで否定するはずだから、肯定と一緒のはずだと思っていた。
そう聞けば、そこでやっとジェームズがこちらに視線を向けた。
俺は素早く制服から部屋着に着替え、魔法で脱いだ服達を洗濯機の中に入れた。
ローブでさえ、毎日洗っている。
――匂いが、取れないのだ。
答えたのは、課題の手を止めたリーマスだった。
「…自分で分からないなら、付き合っていないのと同じだよ」
少し距離を置かれた返事が返ってくる。
ジェームズも同じ考えらしく、何も言わない。
冷たい空気が微かに漂う。
それでも、俺は続けた。
「そう、だよな……でも、近寄ってくる女は皆違う、なのに、なんでそいつは言ってこない? …結局、それだけの関係って事じゃないのかよ?」
「…やけに悩んでるね。昔の君は全く考えなかった事だ」
「たぶん、…“現在”の俺が、身体に残ってるんだ、どんだけ女を抱いても満足しねえし…気持ち悪くさえ思える」
「でも…止めないよね。もしかして、見つからないからってイライラの解消にしているんじゃない?」
リーマスが嫌なところを突いてくる。
ジェームズも起き上がり、完全に本を閉じて、同じ高さから目線を合わせてくる。
2人からの鋭い視線、睨まれているかのような。
いや、事実責められているのと一緒だ。
自覚はしている。
「…だって、今更止めたって俺はとっくに穢れてるだろ、変わんねえよ…」
「我が親友ながら…がっかりな言葉だね」
「ジェームズ…?」
「自分の事なんだからこうなる事を予想していたはずなのに、それでも自分とあの子に賭けた君は、僕の理解を超えてるよ。よほど凄いのか、それとも愚かなのか…」
「何、」
独り言のようにそう呟いたジェームズは、完全に目を伏せていた。
諦めたような、がっかりしたような…そんな表情で。
リーマスも小さくため息をついたのが分かった。
「残念だけど、僕達はもう手助けはしてやらない。自滅の結末にならないよう、祈ってるよ」
最後に俺に残したのは、そんな言葉だった。
…* 雑記 *…
久々になりました…;
会話だけ書いてた物に、文章付け足しただけですが。
Aoiro*Stone/連載~8
2012年05月23日 12時59分 発行
2012年05月23日 12時59分 発行
【結び目8*シリウス*連載】
いつになったらこの痛みから解放されるのだろう。
日付が早く変わってくれないか、願う毎日になった。
現実から逃げたくて仕方がない。
どれだけ涙を零しても、シリウスは変わらないのだから。
2人だけが選択していた授業を終えて昼食に行く前に、リーマスと共に先に荷物を置くため、寮に向かう。
シリウスがこんなふうになってしまってからは、一緒にいてくれるようになったリーマス。
代わりにジェームズは、シリウスに付いていた。
もう何日も、皆で集まって話をしていない。
「最近、シリウスを避けてるね…?」
リーマスがそっと呟く。
気遣ってくれているのが、とても分かった。
シリウスに気付かれないように、同じ授業でも視界に入らない遠い席に座ったり、食事の時間をずらしたりしていた。
私はこくん…、と頷き、
「…見たくない、……シリウスは、また女の子と遊びたくて魔法を使ったのかな? …私が傍にいて、邪魔だった…? そんな事ばかり、考える…」
完全なマイナス思考を口に出す。
そのつもりは無かったはずなのに、考えていた事を言葉にしたら、また何度も何度も流した水分が、瞳に浮かんでくる。
リーマスの手が、そっと抱き寄せてきた。
人前で泣く事などほとんど無かったはずの私が、彼の前では隠す事が無くなった。
泣きたい時は泣けばいい、と優しく言ってくれる。
リーマスになら、安心して身体を預けられる。
「…そんな事ない、そんな事ないよ…」
シリウスの親友でもある彼も悔しいのだろう、悲痛に言葉を繰り返す。
痛みを分かってくれているリーマスがいるからこそ、私は甘えてしまっていた。
「――っどこいったんだ?」
そんな声は、すぐそこのグリフィンドール寮の入口から聞こえた。
私が涙を拭ったのと同時に、そこからシリウスとピーターが現れる。
「あっ…リーマスと姫…、」
「っと、悪い、お邪魔だったか?」
「シリウス、ピーター」
(タイミングが悪い)
リーマスが内心そう思いながら、私と離れた。
誤解されるから、なのだろうが、シリウスに気にしている様子は無かった。
やましい事をしていたわけではないので、私もリーマスも気にしてはいないけれど、シリウスの言葉がまた胸に突き刺さる。
私はシリウスから隠れるようにリーマスの影になった。
「何、どうしたの?」
「いや…飯食いに行くってっつったのに、ジェームズが窓からリリー見つけたとか言って走り出してな…」
「僕等は見かけてないよ」
「そうか…。あいつ、どこから行ったんだか…」
「シリウス、もう外にいるかもしれないよ。ジェームズ早いもん。玄関のとこに向かった方がいいかも…」
「だな、それで見つからなかったら先に食ってるか」
息を切らしているピーターを休ませるため、シリウスはしばし足を止めた。
ふと、黙ったままの私にちらりと視線を向ける。
「姫…最近なんか元気ないよな?」
「…!」
シリウスが私に声をかけたのは聞こえたけれど、うまく声が出せず、沈黙してしまう。
代わりにリーマスが「…ちょっと体調が悪いだけみたいだから」と言ってくれた。
「…そっか」
私が答えなかった事で、変な空気になったのが分かった。
それでもシリウスを見る勇気が出ない。
彼が心配してくれている事は確かなのに。
次第にこれ以上居辛くなってしまい、私はリーマスのローブを握る。
「…ん?」
「先、寮に戻ってる…」
「うん、分かった。…気をつけて」
心の中で深呼吸する。
最近喋っていないから、シリウスに心配させてしまったんだ。
今のシリウスと向き合う事はまだできないけれど、このまま気まずい関係ではいたくない。
久し振りに、シリウスを見上げた。
そして精一杯普段通りの笑顔を見せ、「心配してくれて、ありがとう」と言った。
シリウスが戻るのは一週間も無い――あと数日だけ…我慢すればいいのだ。
…* 雑記 *…
またしばらくぶり。
連載が完結しないせいで他のが配信できないため、昨日朝から頑張って書いてました。
今日は続けて最後まで配信します。
Aoiro*Stone/連載~9
2012年05月23日 13時00分 発行
2012年05月23日 13時00分 発行
【結び目9*シリウス*連載】
一瞬だけ笑ってみせ、1人寮の中に入った姫を見続ける俺に、リーマスは気付く。
「…気になる?」
無意識で視線を追っていたせいか、その静かな言葉でさえ、吃驚した。
「え、いや…久々に笑ってるのを見たから、…姫って大人しい方だけどいつも笑ってたじゃん」
「そうだね」
自分の記憶にある彼女は、今と変わらぬ姿のまま(否、髪は今より短かった)、笑顔が似合う少女だった。
決して元気一杯で、皆の前に立つような感じではないけれど、隣で笑ってくれていたら安心するような――そんなイメージしか無い。
「…この一年で何かあったのか? 今のだって無理矢理笑ってただろ。…俺、この1ヶ月ほとんど笑ってるの見てない」
「……」
「泣いてるのは何度か見た。あと、泣きそうな顔してたり…、」
最近の日々を思い出せば、簡単に姫の事が浮かんできて、自分が案外、彼女を気にかけていた事を自覚する。
「ふーん…見ていないようで見てるんだね」
「…お前も、俺を怒ってるんだよな…?」
「まあね。元の君に戻ったら殴りたいかもね」
この間ジェームズに言われた言葉、『残念だけど、僕達はもう手助けはしてやらない。自滅の結末にならないよう、祈ってる』――自分がどれだけ馬鹿な事をしていたか、親友達のその重い言葉が示していた。
本当はもっと言いたかったに違いない。
だけど彼等は、それだけの言葉にとどめた。
“現在”の俺への優しさだと思った。
「……1つ聞いていいか?」
「どうぞ」
「お前、姫と付き合ってる?」
「どうして?」
「気になる、いや…ずっと気になっていたんだけど、お前が傍にいるから…」
「――好きになった人が同じでも、僕は気にならないよ」
「そう、だよな、……」
リーマスは何か言いたげにしばらく俺を見つめていたが、黙ったままの俺からやがて視線を外し、再び口を開いた。
「ちなみに僕と姫は付き――」
「いい、やっぱり言わなくて、…自分で考える」
「そう」
リーマスの言葉を遮り、俺達はそこでようやく別れた。
…* 雑記 *…
ジェームズはきっと捕まらないでしょう。
リーマスが強気です。
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九獣へび
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