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Aoiro*Stone

自己満足な創作物ログサイト。 今のところ、過去に配信したメルマガのバックナンバーのみ。ログの更新は気まぐれ不定期。

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Aoiro*Stone/ドラコ
2013年06月06日 00時51分 発行


【ドラコ*誕生日SS】




彼女からの贈り物がどうしても欲しかった。

しかし、彼女とは同じ寮でも無ければ、共に並んで歩いた事さえない。
ただ、合同授業などで話すくらいの仲――それでも俺は、望んだ。
どうか、他のたくさんのプレゼントの代わりに、彼女からの唯一のプレゼントに変えてくれないだろうかと。

それだけしか望まない。
他の物はいらないから。




「この間ね、ちょっと占い師さんに占ってもらったの」
「へぇ、どこの?」
「扉に黄色いカーテンが付いてる本屋さんあるでしょう? そこの裏の通り。でも、いつも場所は変えてるみたい」
「怪しくなかった? たまにインチキいるじゃん。しかも料金高めとか」
「ううん。綺麗なお姉さんだったし、良心的なお値段だったよ?」


授業が始まる合間に後ろから聞こえた会話。
声だけで、姫だと分かった。
教科書を眺めていた手を止め、その声に耳を研ぎ澄ました。


「でね、恋愛の事を占ってもらって、こんな事言われたの」


そう言ってしばらく黙る。
どうやら紙に書いてるようだった。
思わず、後ろを振り向きたくなるのをこらえて、反応を待つ。


「ふーん……誕生日プレゼントねぇ」
「ちょ、声に出しちゃ駄目って、」
「ごめんごめん。そっか、じゃあ――」


姫の友達は、急にひそひそと話し始めた。
そのせいで全く会話が聞こえない。

内心舌打ちをしたものの、大事なキーワードが聞けた事は確かだ。
『誕生日プレゼント』――単純に考えるならば、好きな相手の誕生日にプレゼントを送る…という事だろうか。


来月は俺の誕生日がある。
姫の誕生日はまだ先だから……もしかしたら、この時にプレゼントを貰えれば期待できるかもしれない。

好きな相手が俺であるかそうでないか、自信があるわけではないが、告白するのに確証は欲しい。
まずは誕生日にどうなるか待つ事にした。




「ドラコ、誕生日おめでとう! はい、プレゼント。選ぶの大変だったんだからね!」
「…ああ」
「ねっ、開けてみてよ」
「……」
「ほら、こういうの好きでしょ? 部屋に飾ると素敵よ!」
「ああ……貰っておく、パンジー」
「どういたしまして!」


押し付けるように手に渡されたよく分からない置物にお礼を言う気になれず適当に流せば、パンジーは満足げに去っていった。
いなくなった瞬間、自然とため息が出る。

先程から何人かに捕まり、その度に趣味の悪い額だったり壺だったり高級ワインだったりを渡される。
とりあえず受け取ったものの、その度に荷物が重くなる。

俺が欲しいのはこんなものではないのに。


今日は、運が悪く合同授業が無かった。
いつもは少なくとも挨拶はするのに、それすらできる場所が無い。
授業が無い時は、なるべく教室の外に出てはみたものの、そうするとまたプレゼント攻撃に捕まってしまう。


「…うざったい…」


全ての授業を終えた途端、人から逃げるように、塔の方へ向かった。
結局、本日はまだ一度も姫を見ていない。

塔の螺旋階段の途中で足を止め、窓を開ける。
何度目か分からないため息をつけば、風と共に消えた。
目の前に紅くなり始めた夕日が見えた。


何をやってるんだ、俺は。

こんな誕生日、初めてだ。


ふと目線を下げると、中庭に何人か生徒がいるのが見渡せる。
その中で、1人花を摘んでいる女生徒が目に入る。
遠くても分かった、それは姫だ。


認識した途端、足は自然と階段を降りていた。




「…何、してるんだ」
「あ…ドラコ…」


そっと近付いて、目の前で立ち止まると、影に気付いて姫が顔を上げた。


「花、好きなのか」
「えっ、う、うん…好きだけど…」
「?」


急に慌て出した姫の様子に、首を傾げる。
姫は少し戸惑ったように花を見つめて考え込み、それから再び慣れない手付きで摘み始めた。


「急ぎか? 同じのを摘めばいいんだろう?」


手伝おうと思い身近な花に手を伸ばせば、「あっ!」と姫の焦った声に停止する。
同時に、気を抜いた姫の手から花が落ちてしまう。


「ちょ、ちょっと待ってて、触らなくていいから、」
「……悪い」


瞬間、伸ばしてた手を引っ込める。
その拒絶の言葉に、驚くくらいに一瞬で全身が冷たくなるのを感じた。

自分がどんな顔をしていたのか分からなかったが、俺の表情を見た姫が今度は泣きそうに顔を歪め、後ずさった俺の服を掴んだ。


「違うの、…そうじゃなくて…」
「――」


沈黙が流れる。

姫が顔を下げ、動揺しているのは分かったが、本当はもう勢いのまま立ち去りたかった。
けれど、この手を振り解けなかった。


――やがて、姫は先程落としてしまった花をかき集めると、俺の前にそっと差し出した。


「……?」
「これ…本当はもっとちゃんと…たくさん摘んでラッピングしたかったんだけど……プレゼント、です」
「…プレゼント? 」
「本当は、夕食の時に渡そうと思って、だから…なるべく新鮮がいいから、今摘んでたの、でも――ドラコ来ちゃった…」


失敗した、と姫は苦笑いした。
でも、やはり泣きそうにも見えた。


姫の言葉をようやく理解してから、俺は震える手から花を受け取る。
手のひらごと握れば、ぴくりと姫の指が動いた。
弾かれたように上げた姫の表情は、信じられないとでも言うようだった。


「誕生日プレゼント…という事か?」
「…こ、こんなの、受け取ってくれるの…?」
「何を言ってるんだ」


姫を自分の元へ引き寄せる。






「一番欲しかった」








(占い師には何を言われたんだ?)
(えっ、聞いてたの!?)
(…聞こえたんだ)
(えっと…好きな人の誕生日プレゼントに、お花をあげるといいよって…)
(ふーん…なるほどな)


…* 雑記 *…

別のSS、書いてたのがありましたがそれが行き詰まったので、急遽別のネタ考えて急いで書きました。
間に合いませんでしたが…果たしてこれはドラコ?になってるか不安です…。

SS久々すぎてスランプでしたが、もうあんまり考えないで書く事にしました。
どう頑張っても文才は無いから諦めます…

とりあえず、誕生日おめでとうでしたドラコ!!

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